ショパンの事情

(5/11現在:かなり書くべき記事が溜まっています…)
一度来てみたかったLA FOLLE JOURNEE au JAPON。今年はついに参戦が叶いました。

【地上広場〈プレイエル広場〉】(無料公演)
国立音楽大学学生によるクラリネット四重奏

モーツァルト/歌劇《魔笛》序曲
グランドマン/バガテル
プッチーニ/歌劇《ラ・ボエーム》よりムゼッタのワルツ〈私が街を歩けば〉
L.アンダーソン/《シンコペイテッド・クロック》
ウィルソン/パガニーニの主題による変奏曲

女の子4人組。さすがに緊張したのか,魔笛で入りを間違えたりちょっと危なっかしかった。ショパンとの繋がりはないに近い曲目だが,かろうじてパリ繋がりのムゼッタのワルツが一番良かったかな。

【丸ビル1階『MARUCUBE』】(無料公演)
ピアノ:小林愛実
弦楽四重奏:カルテットN


ショパン/ピアノ協奏曲第1番ホ短調弦楽四重奏伴奏版)より第1楽章・第3楽章

丸ビルの巨大吹き抜けを3階回廊から見下ろす形で見物。14歳の小林は,意外にもこの曲は初めてだそうだが,パワフルな演奏。首を横にふりふり弾くのが面白い。カルテットは最後の方は疲れてきていたかもしれない。
オーケストレイションを云々言われがちなこの曲,弦楽四重奏版はなかなか良いですね。「ここでティンパニのロールが入って…」などと頭で補いながら聴くのも楽しい。

【ホールA〈フォンタナ〉】No.115
指揮:ミシェル・コルボ
シンフォニア・ヴァルソヴィア
ローザンヌ声楽アンサンブル
ソプラノ:ソフィー・グラフ
アルト:ヴァレリー・ボナール
テノール:クリストフ・アインホルン
バリトン:ピーター・ハーヴェイ


メンデルスゾーン/オラトリオ《パウロ

5000人超収容のホールA。自分のいる2階後方の天井桟敷(B席)ゾーンは埋まってるのに,2階前方(A席)がガラ空きなので,チューニングが始まると雪崩のように前方の席へ移る人が続出した。自分も迷ったけれど,通路側の人が動かないしまあいいやと思った。歌詞にもあるように,「ひざまづけ,高ぶれる者たちよ,主はそばにおいでだから」。思っていたよりは聴きやすかった。
よく「バッハの《マタイ》やミサ曲ロ短調を聴くときはキリスト教徒になる」という話を聞くが,自分はむしろメンデルスゾーンにそれが言えるかもしれない。《パウロ》は序曲からしていつ聴いても泣きそうになるし,いわんやパウロの改悛を象徴する合唱「立ち上がれ,光となれ」→コラール「目覚めよと呼ぶ声あり」の畳みかけにおいてをや。
当公演は休憩なしだった。パウロ改悛後の第2部は,冗漫さを防ぐためかカットしていた。販売していた対訳にはカットが記されていなかったので,迷子になった人も多かっただろう。26番合唱と27番ソプラノRez.&アリオーソをカットした結果,テノールの出番が連続してしまうので,直前25番の小二重唱はソリストではなく合唱の中のテナーとバスが歌っていた*1。また,33番合唱〜36番パウロのアリアの前半までもカット。歌詞を見るとずいぶん大胆なカットだが,どうしても単調になる部分だがらしかたないのかな。
歌手陣は一流で,特にソプラノは見た目までスレンダーな美女で素晴らしかった。日本でこの水準のパウロが聴けて大満足です。ああエリアも聴きたい…。

*1:ここでのバスはパウロ役だから違和感が大きかったが…。