喜びの聖霊

東京都交響楽団
第697回定期演奏会Aシリーズ 東京文化会館
指揮:ジェイムズ・ジャッド
ピアノ:相沢吏江子


モーツァルト/ピアノ協奏曲第17番ト長調
エルガー交響曲第2番変ホ長調

わずか1週間をおいてエルガーの両交響曲が聴けるなんて,まさに「稀にしか来たらぬ喜びの聖霊」。
ジャッドはモーツァルトでも速い。ピアノはいまひとつに思われたが,作曲家が「ムクドリの主題」と呼んだという第3楽章では両者乗ってきて,なかなかスリリングだった。ちょっと睡魔に負けてしまったが。
エル2は,最初「意外と遅いかな?」と思っていると,あっという間にギアがトップに入って高速になる。ジャッドはかなりの先振りである。1番の時と同様,管楽器(特に直管)をあまり前に出さない演奏なので,物足りなく感じる部分もあるものの,そのぶん弦楽器の優秀さを堪能できた。ホルンとテューバは大変な曲だなあ。
なんだってこの曲の第4楽章第2主題はかくも涙腺を刺激するのだろうか。自分が死ぬ間際の走馬灯のBGMはこの第4楽章がいいな。心根の優しい人にしか書けない音楽だと思う。なお展開部クライマックスのトランペットは2小節伸ばしだった。
最近都響はブラボー屋が多いのだろうか。いくら感動的だったからといって,余韻をこそ味わうべきこういう曲ではほんと勘弁してほしい。