バーコン

東京フィルハーモニー交響楽団
第785回サントリー定期シリーズ
指揮:広上淳一
ヴァイオリン:渡辺玲子
メゾ・ソプラノ:富岡明子


コープランド/市民のためのファンファーレ
コープランド/エル・サロン・メヒコ
バーバー/ヴァイオリン協奏曲
バーンスタイン交響曲第1番《エレミヤ》

今日はアメリカ音楽ファン歓喜の日。コープランドは生誕110年&没後20年,バーバーは生誕100年,バーンスタインも没後20年である。いずれも1940年前後の時期に書かれた作品。
ファンファーレでの広上氏の動きが,入学式@武道館でバスドラに合わせて腕を振り回す応援団の人のようで面白かった。また広上氏は指揮中,各パートの入りごとに「アッー」(笑)と声を出して息を吐く*1のが耳につく。
《エル・サロン・メヒコ》は真っ当に聴こうとすると若干単調に感じられますね。
生誕100年バーバーの協奏曲はもう少し取り上げられていいと思うのだが,見たところ在京プロオケ唯一の演奏会。渡辺玲子氏は久しぶりに聴いたが,険しい顔で峻厳な演奏だった。明るいけどノスタルジックな第1楽章の旋律は,寂しげな冬の青空といったイメージで,リヒャルトのOb.協奏曲なんかにも通ずるものを感じる。
バーンスタインが20代半ばに書いた《エレミヤ》は,バビロンによるエルサレム破壊を歎く『エレミヤの哀歌』によった交響曲。象徴的な標題のわりに存外聴きやすい。第1楽章〈預言〉はパッサカリア風の趣もある重めの音楽,第2楽章〈冒涜〉ではジャズ風のバーバリズムがいかにもアメリカ,いかにもバーンスタインである。最後の第3楽章〈哀歌〉では荒涼とした雰囲気の中,メゾソプラノがエレミヤ哀歌を歌う。毅然とした歌唱が真に迫るようで,いいものを聴きました。

*1:普通は入りの前に息を吸う場合が多いと思うんだけど,氏はたいてい吐いてるように聞こえる。