びよら!

東京都交響楽団
第696回定期演奏会Bシリーズ サントリーホール
指揮:ジェイムズ・ジャッド
ヴィオラ今井信子


ヴォーン=ウィリアムズ/アリストファネスの喜劇《すずめばち》への序曲
ウォルトンヴィオラ協奏曲
(アンコール)ヘンデル細川俊夫編)/歌劇《リナルド》より〈私を泣かせてください〉
エルガー交響曲第1番変イ長調

イギリス音楽ファン狂喜の神プログラム。
《すずめばち》序曲はいつ聴いても幸せな気分になれる。そして意外にもトロンボーンが編成に含まれないことを初めて知った。アリストファネスの原作は,扇動家に操られる陪審員裁判を皮肉った内容らしいので,裁判員制度の昨今にぴったり(?)。
第一人者だけあって,今井信子によるウォルトンはとても自然(もちろん暗譜)。ヴィオラ協奏曲を実演で聴くのは初めて。貴重な体験であり,空席が目立ったのがもったいないほどでした。アンコールは元々やるつもりがなかったのかもしれないが,止まないカーテンコールに促されるようにヘンデル(イギリスプロに相応しい!)をやってくれた。それこそ泣かされそうな素晴らしいアンコールだった。
エルガー交響曲はずいぶん日本のオケに取り上げられるようになりましたね。演奏頻度でチャイ4あたりに劣らないのでは?ジャッドの指揮は第2楽章を筆頭に総じて速めで,今まで聴いた録音&実演の中でも最速の部類かもしれない*1。前進あるのみで作為の目につかない解釈だが,それでいて乱雑さのない丁寧な演奏で感心した。実直な指揮者にオケが誠実に応えたという印象の,感動的名演でした。来週のエル2も楽しみです。
日曜に引き続きLAブロック(ホルン斜め後ろ)だったので,ヴァイオリンがぼやける反面,ヴィオラがよく聞こえた。第1楽章冒頭ノビルメンテ主題や第4楽章第2主題がビンビン飛んできて痺れたし,第4楽章冒頭の"Last desk only"も,「どこから聞こえてるんだろう」と思わせる効果が抜群だった。この書法はリヒャルトの影響でしょうが,うまく生かしてますね。

*1:エルガーの自演自体かなり速いので,ある意味正統とも言える。ショルティもその路線。