三人目のティル

米英の指揮者を迎えてきた日本の楽団が,新たにフランス人を招いて,独墺の楽曲をやる。

東京佼成ウインドオーケストラ
第104回定期演奏会(ポール・メイエ首席指揮者就任記念) 東京芸術劇場


(プレ・コンサート)
ソプラノサックス:須川展也
アルトサックス:田中靖人,仲田守
テナーサックス:栃尾克樹
モーツァルト/《アヴェ・ヴェルム・コルプス》


指揮:ポール・メイエ


モーツァルト/セレナード第10番変ロ長調《グラン・パルティータ》
ヒンデミット交響曲変ロ調
R.シュトラウス(ハインズレー編)/交響詩ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら
(アンコール)同《ティル》よりエピローグ

2年ぶりぐらいの佼成。女子高生の多さと,なぜかおばさんも多いのにびっくり。メイエファン?クラシックの演奏会と思えぬほどの女性率でした。
アメリカ(フェネル)→イギリス(ボストック)と来たから次はフランス系で,集客に繋がる知名度のある人を……という人選でメイエなのかな。常任ではないし,そもそも定期は年4回だけだから,多分に名ばかりな気がするけど。洗練された指揮で格好よかったです。ただ,喋るならもうちょっと慣れてる人に通訳してもらいたかった。
前聴いたシモーノ氏の時もグランパルティータをやっていたが,今回は全曲。速いテンポで,フェルマータの後もG.P.を作らない,どんどん先に進む指揮。装飾音の付け方が聞き慣れたのとは違っていた。後半ほど素晴らしかったが,特に終楽章は高速なのに表情も豊かな圧巻の演奏で,Ob.に拍手を送りたい。
一度聴いておきたかったヒンデミット。終盤で第1楽章の主題が回帰する所は控え目だったが,そのぶん各要素の同時進行っぷりがわかりやすくて良かった。なかなか明晰な演奏だったのでは。
今回のプログラムノートで,初めて芸劇大ホール入口にある銅像がティルの像だったことを知った。まさかそれに掛けての選曲?同じティルでも吹奏楽だとストラヴィンスキーのような響きに聞こえる不思議。黄色い声の「ぶらぼー」に苦笑。