春萌え上がる

東京藝大チェンバーオーケストラ
第14回定期演奏会シューマン生誕200年特別企画)
東京藝術大学奏楽堂
指揮:前田昭雄
ヴァイオリン:岡山潔


シューマン交響曲ト短調
シューマン交響曲第1番変ロ長調
シューマン/ヴァイオリンと管弦楽のための幻想曲イ短調
(アンコール)シューマン/ヴァイオリン協奏曲ニ短調(遺作)より第2楽章

ト短調交響曲(通称《ツヴィッカウ》)をやるというので買ってみた。せっかくの自由席なので,ど真ん中のいい席を確保。
学者の前田センセ(シューマン研究の大家)の指揮ということで,なんとなく予感していた通り,超合わせづらそうだった。「曲の規模を考え,よりレヴェルの高い演奏を目指すために13名の教員が」各パートトップに座っていた(今回だけらしい)のは,きっと学生だけだと崩壊するからではないか。
ト短調交響曲ではキュー出しもしばしば間違っていてヒヤヒヤだったが,トップのプロの方々は意に介さず流れを保つことに集中していた。呼吸の必要な箇所は,ほとんどVn.のトップ二人(交響曲では岡山さんがコンマスも担当)が指揮しているようなもの。《春》ではいくぶんマシになったものの,第4楽章冒頭は見事に揃わずティンパニの人が苦い顔してた。
それでも,ときにロボット,ときに子供のような前田センセの動きは微笑ましかった。想いが溢れてまとまりきらないシューマンの音楽を,想いが溢れてまとまりきらない前田センセの無邪気な指揮で聴くも一興。
幻想曲はヴァイオリン協奏曲の第3楽章に似た雰囲気の曲。岡山さんは冷静な顔をしていたが,内心は交響曲2曲のコンマスで消耗しきっていたのではないかと。
奏楽堂は初めて入りましたがきれいですね。これからは奏楽堂の公演も気にしてみよう。