2月の十月

新日本フィルハーモニー交響楽団
第457回定期演奏会 トリフォニー・シリーズ第1夜
指揮:ヒュー・ウルフ
チェロ:タチアナ・ヴァシリエヴァ


モーツァルト交響曲第39番変ホ長調
シューマンショスタコーヴィチ編)/チェロ協奏曲イ短調
(アンコール)J.S.バッハ無伴奏チェロ組曲第1番ト長調より〈プレリュード〉
ショスタコーヴィチ交響詩十月革命

読響との《1905》以来2年ぶり,期待のヒュー・ウルフ。
モーツァルトがとても良い演奏で,それだけでも満足だった。今回もホルンが気になりはしたが。
ショスタコのオーケストレイションによるシューマンは,ルザノフ&ロジェヴェンのCDで所有しているが,実演で聴いてみると,プログラムノートにあった通り「室内楽風な楽譜を独奏と大管弦楽が渡り合うヴィルトゥオーゾ協奏曲へと変貌させる」意図が明快。第2楽章冒頭で突如耳につくハープの音は,アタッカで繋がっている楽章の節目をわかりやすくするという以上の意味はなさそうに思われる(実際そこ以外ほとんど用いられない)。全般に木管の用法(特にピッコロと後列の存在感)にショスタコらしさを感じるが,本人は特に個性を押し出そうとしたわけではなく効果的に書いたまでのことなのだろう。CDでははっちゃけて聞こえる第3楽章のトランペットも,あまり違和感がなかった。どうせならヴァイオリン協奏曲も編曲してほしかったな(あれはどうしようもないか)。ヴァシリエヴァの演奏は線は細めだが,どこかはかなさのある独特の音色に思われた。
期待の《十月革命》は,上手寄りに座っていたせいか余計にキンキンした軽い響きに聞こえた。コーダがコーダだし,ふつうの演奏会にあるような余韻がなくてちょっと妙な雰囲気。まあ大規模なアンコールみたいなものですね。なんとなくショスタコは読響のほうが似合う気がする。