ハリル

《オックスフォード》・バーンスタイン・ブラ4ってどこかで聞いたようなプログラムですね。

東京都交響楽団
プロムナードコンサートNo.338 サントリーホール
指揮:マーカス・ポシュナー
フルート:寺本義明


ハイドン交響曲第92番ト長調《オックスフォード》
バーンスタイン/ハリル − フルート独奏と小管弦楽のための夜想曲
ブラームス交響曲第4番ホ短調

3作の作曲にはほぼ100年ずつの隔たりがある。いずれもフルートにソロの活躍の場が与えられている点が共通点か。
ポシュナーはかなりの長身で,おそらく今までに見たどの指揮者より高いんじゃなかろうか。ハイドンでは,そのいかつい巨体でもってお茶目系の指揮(ラトルを多少意識しているのだろうか)をするのが可笑しかった。特に第4楽章では例の2番ホルンに合わせて首を振る顔芸まで披露し,演奏後は2番ホルンを唯一立たていた。オックスフォードファン以外には「?」だろうと思いました。
「ハリル」は,ヘブライ語でフルートの意。将来を嘱望されたフルート奏者でありながら,イスラエル兵として第4次中東戦争の犠牲となった青年のエピソードに触発された作品である(初演はランパル)。フルート独奏にアルトフルートとピッコロがこだまのように寄り添い,大中小3種の銅鑼を初めとする種々の打楽器が響きを彩る。調性と非調性,西洋的響きと東洋的響き,あるいはユダヤ的イメージとアメリカ的なイメージ?――といった相容れない要素の間を逍遥するような幻想的な曲であった。それでいてつかみどころがないわけではなく,ある程度聴衆フレンドリーなのがバーンスタインらしいところなのだろうか。
ブラ4は速めのテンポでなかなかスリリングな演奏。しかし各フレーズの終わりが舌足らずに感じられたり,パート毎のリズムの噛み合わせが大味だったりして,個人的にはしっくり来ない演奏だった。第4楽章ではティンパニが飛び出してしまう危険な場面も。トロンボーン*1は良かった。
それにしてもフラブラが酷かった。寺本先生には通り一遍の拍手しかなかったくせに……

*1:小田桐さんお休みシフト