翼をください

翼をください》の2番の歌詞に,

今、富とか名誉ならばいらないけど
翼がほしい

というのがある。
調べてみると,この部分はヴァージョンによってカットされている場合が多いようで,議論を呼ぶ箇所であるらしい。しかしその辺の事情はよく知らないので置いておく。自分の記憶に残っているということは,少なくともうちの小学校ではこの部分を含めて歌わせていたということである。
さて,この歌を歌った小学生の頃,自分は漠然とながら当該箇所を次のように解釈していた。「今,もし私が富や名誉(を持っている状態)であるならば翼は必要ないだろうけど,そうではない(富も名誉もない)から,せめて翼がほしい」と。なかなか現実的だが,「今の私には富も名誉もない」ということを婉曲に・さりげなく表現した上で非現実的な夢想へと転化していて,上手いような気がしていた。
ほどなくその解釈は誤りであることがわかり,「富や名誉は今の私に必要ないけれど,翼ならばほしい」という意味にとるのが一般的だとわかった。それはそれでいいのだが,この場合,今の「私」に「富や名誉」が備わっていることを否定するものではないですね。「富や名誉は間に合っているからあとは翼があれば満足よ」にとれなくもない。別にそれだって悪いことではないのだけれど,小学生の頃の自分が前者の解釈をしてしまったのも故なしとは言えない,と思ったのでした。