変身

林檎もったいないなあ


変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。

有名すぎる冒頭一文は,おそらくこの高橋訳で日本人の意識に植え付けられているよう*1に思うので,この新潮文庫版を選んだ。やはりグレーゴル・ザムザには,自分が虫に変わっているのを「発見」してほしいと思う。「変わっているのに気づいた」じゃ,日常茶飯事みたいじゃない。あ,そこが面白いのか。
ツァラトゥストラはこう語った」ではしっくりこないのと同じですね。
新しい池内訳も気になったが,柔らかすぎて読み応えがなさそうだったので避けた。高橋版読後に最終ページも見比べてみたが,明らかに高橋版*2の方が名文に思われた(「〜した。」を畳み掛ける単調な文体にもかかわらず)。以前読んだ池内訳の『ファウスト』もいまひとつだったので,そのうち高橋訳で読み直したい。

*1:なぜか自分の中では,江守徹の声で再生される

*2:高橋訳も部分的には結構適当で文意の通りづらい箇所はあったけど。