変身
林檎もったいないなあ
- 作者: フランツ・カフカ,Franz Kafka,高橋義孝
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1952/07/28
- メディア: 文庫
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ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかりな夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の巨大な虫に変わっているのを発見した。
有名すぎる冒頭一文は,おそらくこの高橋訳で日本人の意識に植え付けられているよう*1に思うので,この新潮文庫版を選んだ。やはりグレーゴル・ザムザには,自分が虫に変わっているのを「発見」してほしいと思う。「変わっているのに気づいた」じゃ,日常茶飯事みたいじゃない。あ,そこが面白いのか。
「ツァラトゥストラはこう語った」ではしっくりこないのと同じですね。
新しい池内訳も気になったが,柔らかすぎて読み応えがなさそうだったので避けた。高橋版読後に最終ページも見比べてみたが,明らかに高橋版*2の方が名文に思われた(「〜した。」を畳み掛ける単調な文体にもかかわらず)。以前読んだ池内訳の『ファウスト』もいまひとつだったので,そのうち高橋訳で読み直したい。