あなたとならば

東京交響楽団
東京オペラシティシリーズ第56回
指揮:ユベール・スダーン


シューベルト/歌劇《アルフォンソとエストレッラ》序曲
ハイドン交響曲第103番変ホ長調《太鼓連打》
フランク/交響曲ニ短調

スダーン&東響でこのプロ!と期待大だったが,ちょっと期待しすぎたかもしれない。太鼓連打は昨年のロンドンの感動に及ばず。睡魔に襲われたコンディションのせいもあるかもしれないけど。
フランクはあまり勿体つけない演奏。サラッとしすぎてあっけなかったかも。それにしてもフランクは夏の曲というイメージが強い。メイン乗りか否かにこだわらなかったつもりの自分であっても,やはり唯一のサマコンのメインとしての印象は格別のようだ。実際限られたメイン乗りの機会にこの曲に乗せていただけたことは,実に仕合わせでした。

でゅってゆう

読売日本交響楽団
第465回定期演奏会
指揮:シルヴァン・カンブルラン
ピアノ:児玉桃


フォーレ/付随音楽《ペレアスとメリザンド
メシアン/鳥たちの目覚め
ドビュッシー/ピアノと管弦楽のための幻想曲
デュティユー/五つの変遷(Cinq metaboles)

フォーレからして,いつもの読響とどこか違う肌触りの音が丁寧に紡がれていてなかなか感心した。
メシアンが面白かった。ピアノソロとオケがひたすら種々の鳥の囀りを再現する感じの曲だが,斜めから見下ろせるR席だったこともあり,まさに巨大鳥籠を鳥瞰している気分。こんな楽しみ方の音楽もあるんだと耳を開かれた思いがした。
ドビュッシーの幻想曲は洒落た良い作品だと思うのだけど,なかなかお目にかからないのでちょっと嬉しい選曲。
カンブルランは,たとえどんなに盛り上げる所であっても,響きが飽和したり崩れるような音を出させないようだ。デュティユーのクライマックスは特にそれを感じさせた。節度ある絶妙なコントロール。デュティユーのCD買いたい。メシアンも。

In te, Domine speravi

東京交響楽団
第580回定期演奏会
指揮:ユベール・スダーン
ソプラノ:澤畑恵美
アルト:小川明子
テノール:高橋淳
バス:久保和範
合唱:東響コーラス


ブルックナー交響曲第9番ニ短調(ノヴァーク版)
ブルックナー/テ・デウム ハ長調

評判のいいスダーン&東響のブルックナーを一度聴いておきたく,かつ一度実演を体験してみたい9番ということで,つくば公演を気にしつつこちらを聴きに来た。
だいぶ曲調の異なるブル9とテ・デウムを続けて演奏することも,スダーン特有の音作りだからこそ説得力を持ったと思う。独唱は今一歩だったが合唱はパワーがあり頑張っていた。いい経験でした。

天地リコンストラクション

ギリギリに行ったら3階前方のいい席だった。読響を離れて聴くのは久しぶり。

読売日本交響楽団
第174回東京芸術劇場名曲シリーズ
指揮:シルヴァン・カンブルラン
アルト:エカテリーナ・グバノヴァ
テナー:ミヒャエル・ケーニッヒ


ハイドン/オラトリオ《天地創造》から序奏
ヴァレーズ/砂漠
マーラー/《大地の歌

ハイドン〜ヴァレーズは続けて演奏されたうえ,なんとヴァレーズが終わるやもう一度ハイドンを演奏した。ハイドンはなかなか凝っていて単体でも見事だったし,ヴァレーズはパリッとしたトロンボーンをはじめ聴きごたえがあった。面白い企画だったと思う。
マーラーイヤーとはいえ大地の歌はなかなかレアであるし,マーラーの中では比較的取っ掛かりの得やすい曲なので後学のために聴いておこうと思った次第である。ケーニッヒが巨体のわりに声量が足りなかったが,第1曲・第5曲はシンフォニックに書かれているのでしかたないのかもしれない。
なお15Vc.S井さんと隣席だった。

明日 君がいなきゃ 困る

数年来行きたいと思いつつ,タイミングを逃していたスピッツのライヴ。『さざなみCD』や去年のライヴDVDを聴くにつけ,スピッツが第2(第3?)の黄金期を迎えている感を強くしていたので,今年こそは,と思った。
スタンディングのライヴは初めてである。整理番号は後の方だったので,PA席のすぐ横(柵に寄りかかれる)を確保。幸いすぐ前や横の人も落ち着いた人達で手を挙げたりしなかったので*1,気楽に楽しむことができた。
会場は30〜40代ぐらいの女性がやや多い印象。おおよそスピッツと同年代か。メンバーはとても40代とは思えないけれども。
とにかくムワッとした気候で音響的にも大変なんじゃないかと思った。MCごとに「…暑いね」「みなさん大丈夫ですかー」みたいな感じ。暑さのせいか,何箇所か歌詞が危うくなりかけた気がしたし,《スターゲイザー》最後のマサムネソロではコードが飛んでしまったそうで歌詞を口ごもっていた。でもその後のMCで「♪困〜る〜」を繰り返してネタにしてくれたので面白かった。そしてMCで一節ずつ歌ってくれた《木綿のハンカチーフ》と《よろしく哀愁》も素晴らしい。
新曲《ビギナー》は典型的スピッツメロディーだが,照明効果・アレンジ・歌唱が相まって,鳥肌の立つような凄みがあった(あれは録音音源では味わえないな…)。パンフでも言っていたが本当に小田和正を目指してるんじゃないか。
まことマサムネさんは人間国宝であるなあ。一生聴き続けるだろうし,一生憧れの人である。
(以下セットリスト)

*1:すぐ前の夫妻は微動だにせず聴いていたので,それはそれでどうかと思わんではなかった

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オルガン付き

ならぶんの建物って,ショッピングモールの姿を借りた悪の要塞だという気がしてならない。

千葉大学管弦楽団
第107定期演奏会 習志野文化ホール
指揮:藤岡幸夫
オルガン:室住素子


グリーグ/抒情組曲
ブリテン/歌劇《ピーター・グライムズ》より四つの海の間奏曲
サン=サーンス交響曲第3番ハ短調《オルガン付き》
(アンコール)
エルガー/威風堂々第1番ニ長調

千葉大うまいなあ。これといって目立った穴となるパートがない。特に弦はこんなに上手かったっけと思った。
異なるタイプの曲が楽しめる良いプロだった。抒情組曲は浅学にして初めて聴いたが,グリーグらしくて良い。ブリテンはやはり面白いし,トロンボーンGJです。
オルガンは実演で聴いたことがあったか記憶がないが,久々に聴いたらすごくやってみたくなった。AまねくんやIw井さんといった自分にとって接点の薄くなる世代が活躍してるのをみると,感慨がありますね。
アンコールの気合いが凄かった(特にTrb.)。一見バラバラだったプログラムは,アンコールにオルガン入りで威風堂々をやるための伏線だったのか…(違)。でも指揮者がオルガンを見たタイミングと実際にオルガンの入るタイミングが違ったのは何故。

ハチャメチャやん

新日本フィルハーモニー交響楽団
第463回定期演奏会 トリフォニー・シリーズ第1夜
指揮:下野竜也
オルガン:小林英之


バッハ(エルガー編)/幻想曲とフーガ ハ短調 BWV537
ハチャトゥリャン/交響曲第3番ハ長調交響詩曲》
バッハ(レスピーギ編)/パッサカリア ハ短調 BWV582
レスピーギ交響詩《ローマの祭》

爆音プロ?たぶんシモーノ氏が一番やりたかったのは今度読響でもやるエルガー編バッハ(新日で練習って贅沢な)で,そこからレスピーギ編バッハ→祭→バンダ・オルガンのついでにハチャ3もやっちゃえ!となったのだろうか。読響正指揮者というポストでありながら,他の在京オケの定期にも引っ張りだこ*1で個性的なプロやらせてもらってるシモーノ氏はやはり破格な気がする。
全曲全力のシモーノ氏に応えてかオケの気合いも凄く,エルガーの弦はとりわけ文句なしの素晴らしさ。フーガ冒頭のヴィオラが気合い入れすぎで可笑しかった。
ハチャ3は,真面目に聴いてもアホ曲であることがわかった(笑)。ラッパ15本も集めさすならもうちょっと他にやらせることある気がするのだが…>作曲者。最前列だったので弦の音壁に阻まれて期待ほどの爆音に感じなかったが,ステージ上以外のトランペット12本はオルガン左右に並んだのでよく見えた。これだけ長い単独オルガンソロは珍しい。延々駄曲っぽい雰囲気が続いた挙句,最後5分で〈剣の舞〉やVn.コン等を彷彿させる民族舞曲調になって少し楽しくなる。引っ張っといて結局それがオチかいって印象。
もちろん祭も気合いビンビン。よくも体力がもつもんだと思うシモーノ氏の指揮ぶりだが,前より心持ち痩せた気がしないでもない。
(追記)ひとつ腹が立ったのは,プログラムノートがハチャトゥリャンの代表作に「ピアノ協奏曲やフルート協奏曲」を挙げていたこと。作曲家公認とはいえ,フルート協奏曲の原曲はヴァイオリン協奏曲なんだからそっちを書くべきじゃないか。

*1:定期,というのが重要